Mapbox ディレクションAPIがプライベートプレビューで「Electric Vehicle Routing」をサポートしています。
これにより、アプリ開発者はEV(電気自動車)における高性能なナビゲーションアプリを作成することが可能になりました。
Mapbox EV Routingは、以下を可能にします。
- 車両の特性と充電ステーションのデータを考慮し、ドライバーが充電のために立ち寄る最適な場所を提案します。
- 単純なエネルギー消費量の平均値ではなく、正確な車両の特性と道路状況を考慮することで、他と比べ約30%精度の高い、航続距離予測を実現します。
- 開発者がバッテリーレベル、消費曲線、充電器の互換性など、電気自動車の特性を定義し、ドライバーが最適な充電スポットを経由して目的地に到達できるルートを生成します。
- 旅行中の正確なバッテリー消費予測も可能にします。
これらの機能により、開発者はより優れたEV向けナビゲーションを開発することができるようになります。
ワンタップEVトリップ・プランニング
EVの運転は、ガソリン自動車に代わる選択肢としてますます人気が高まっています。しかし、走行距離への不安がEV普及の最大の障害となっており、2021年のEVの世界市場シェアは約9%にとどまっています。購入希望者は、EVで長距離移動が可能かどうか、必要なときに充電ステーションが見つかるかどうかを心配しています。また、現在のEV所有者の約4人に1人が、充電の必要性を考慮したルートプランニングができれば、ナビゲーション体験が改善されるとも考えています。
長距離移動の計画を立てる際、多くのEVドライバーはモバイルアプリで充電ステーションを手動で検索し、何十もの選択肢の中から理想的な充電ステーションを判断しています。また、何回停車して、どれくらいの時間充電するのかを決めなければなりません。走行距離の不安から、ドライバーは必要以上に充電ステーションを利用してしまっています。充電スポットのために、余計な遠回りをして、必要以上に充電してしまうケースが多々あります。その結果、走行時間も伸びてしまいます。
例えば、ワシントンDCからボストンへの旅では、EVは平均2~3回の充電が必要で、ドライバーは50カ所以上の充電場所の中から自身で選択しなければなりません。
Mapbox EV Routingは高性能なナビゲーションシステムであり、走行中に最適な充電スポットと各スポットの最適な充電時間を自動的に特定し、最大で2時間の走行時間と約1時間の充電時間を節約することができます。
また、リアルタイムの交通状況を考慮し、道路の状況変化に応じて充電計画を再計算するため、ドライバーはストレスなく運転に集中することができます。
EVドライバーの体験を向上させることは、EVの普及を促進し、自動車から排出される数100万トンのCO2eを防止することに貢献します。
走行距離の不安を解消
ほとんどのEVは、過去の走行効率をモニターし、現在の走行終了時のバッテリー残量を予測します。しかし、速度や高低差、交通状況が変化する道路を走行する場合、その予測の精度は下がります。
Mapbox EV Routingは、車両、位置情報、交通データをシームレスに同期させ、全行程の正確なバッテリー残量を予測します。環境条件や走行モードの変化により目的地が走行可能範囲外になった場合、開発者は、近くの充電ステーションを自動検索したり、新しいルートの要求をするように設定することができます。
また、交通状況の変化を監視し、バッテリー推定値をリアルタイムで更新することもできます。
Forbes誌によると、走行距離の予想が立たないことは、EVドライバーの不安をあおる大きな要因になっています。
EVはそれぞれ個性があり、バッテリーの消耗速度も異なるため、開発者が車両の特性を設定できることは非常に重要です。
Mapbox EV Routingは、運転行動、道路速度、道路標高、バッテリー残量、速度加速・減速、車内消費、バッテリー温度など、エネルギー消費に影響を与える要因を考慮した上で設定されています。