今年4月、Mapboxは高精度ラスターデータの処理、スタイル設定、レンダリング機能のベータ版をリリースしました。天気データの一般的なフォーマットであるNetCDFおよびGRIBラスターデータの処理サポートは、現在、Mapboxのすべてのお客様にご利用いただけます。また、GeoTIFFラスターデータの処理サポートも追加され、カスタムの衛星画像や航空写真をより効率的にプラットフォームに導入できるようになりました。このデータは、Mapbox Tiling Service(MTS)で処理され、タイル化されます。
気象データの視覚化と柔軟なスタイル設定の改善
MTSの新しいタイル機能により、NetCDFおよびGRIBラスターデータ内の数値情報(気温や湿度など)は、処理からレンダリングまで保持されるようになりました。数値データは実行時にスタイル設定やクエリが可能で、動的な色付けやポイントクエリを行うことができます。これにより、より視覚的に魅力的で、インタラクティブな気象マップを作成できます。
MTSにより、お客様は独自のインフラに投資し、管理する必要がなくなり、時間、コスト、リソースを節約できます。お客様はラスターデータとベクターデータの単一の技術スタックとパイプラインに移行し、Mapboxに処理とホスティングを任せることができます。これにより、貴重なエンジニアリングリソースを数百時間節約でき、独自の処理パイプラインの構築や維持にかかる費用を数千万円単位で削減できます。
マッピング会社であるZeroSixZero社はWebアプリにおける気象データレイヤーの視覚化を強化するために、MTSの新しいラスターデータ機能を使用しています。
"データ処理パイプラインを自社でホスティングすることは、煩雑で障害が発生しやすく、開発、ホスティング、監視、メンテナンスに多大な時間とリソースを必要とすることがよくあります。MTSのラスターサポートにより、独自のツールを構築・管理する手間をかけずに必要なすべての制御を行うことができます。これにより、ホスティングコストを削減し、パイプラインのトラブルシューティングではなく、ユーザー向けの機能開発に時間を費やすことが可能になりました。" - Expedition Map Maker、ZeroSixZero
より魅力的で情報豊富なマップを実現するパーティクル・アニメーション
MTSによるラスターデータのタイル化サポートにより、Webアプリとモバイルアプリの両方でラスター・パーティクルをアニメーション化する新しい方法も実現します。風、波、潮流など、大きさや方向などの属性を含むデータソースでは、通常、データ増分間のギャップが長くなります(例えば、12 時間ごとにしか利用できない風データ)。効果的でスムーズなアニメーション効果を実現するために、パーティクル・アニメーションでは、増分間のデータの動きを補間または予測します。ユーザーは、断片的なデータを解釈する必要がなくなり、気象パターンをより直感的に理解できます。また、マップをズームしたり、場所を移動してもパーティクルが持続するため、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。
パーティクル・アニメーションの作成例はMapboxのドキュメンテーションをご覧ください。
ビジネスニーズに応えるカスタム画像の導入
MTSでは、ファイルサイズの制限なくGeoTIFFデータの効率的な処理が可能になりました。お客様は、独自の衛星画像や航空画像をMapbox Satelliteと併用したり、代わりに使用したりすることができます。リモートセンシング画像レイヤーを含む季節ごとの画像を表示したり、時系列の画像を表示したりする場合には、カスタム画像ソースが便利です。拡張されたGeoTIFFのサポートは、LTEや5Gのサービス提供エリアデータのような独自ラスターデータの操作にも役立ちます。
ラスターデータをより効率的に処理および提供
MTSは、新しいAPI api-rasterarraysを介して、新しいMapbox Raster Tile(MRT)形式でラスターデータを提供します。MRTは、Webおよびモバイル用のMapbox SDKでデータを効率的に表示できるように最適化された範囲指定可能な形式です。ラスタータイルセットが公開されると、ユーザーはラスター配列タイプのタイルセットソースをマップに追加し、そのソースを使用してスタイル設定されたマップレイヤーを作成します。
Disaster Techは、MTSのラスターデータサポートを活用し、自社のサービスをより迅速に拡大しています。
"Mapboxは、処理とホスティングを代行してくれるので、自社でGeoserverを維持管理する必要がありません。自社でラスタータイルをキャッシュする代わりに、Mapboxが代行してくれるので、多くの顧客にサービスを拡大することが可能になりました" - Disaster Tech, Inc. ユーティリティ担当ディレクター、Jay Shafer博士
ラスターデータの表示をより細かく制御
Mapboxマップスタイルに追加されたカスタムデータレイヤーと同様に、ラスター配列ソースはMapbox Studioを使用してプレビュー、スタイル設定、共有することができます。Mapbox Studioは、グラフィカルなインターフェイスを提供しており、ユーザーは事前設定されたカラーパレットを適用したり、カスタムカラーグラデーションを作成したり、色を手動で編集したり、タイルセット内のバンドをプレビューしたりすることができます。
マルチリージョンアーキテクチャにより、信頼性とコンプライアンスが向上
ラスターのサポート機能に加え、Mapboxはラスターおよびベクターデータの両方に対して、MTSの処理、ホスティング、およびタイル配信のマルチリージョンサポートも有効にしました。処理とストレージの冗長性により、予期せぬ地域全体の停止を防ぎ、MTSの稼働時間と可用性が向上します。プライマリーリージョンが停止した場合、MTSはシームレスかつ自動的にセカンダリーリージョンにフェイルオーバーします。マルチリージョンサポートにより、お客様はデータを2つのリージョンに保存することを選択できるため、データ主権要件への準拠も可能になります。MTSのマルチリージョンサポートの導入についてはお問い合わせください。
MTSでラスター画像の構築を開始
ラスターデータに対するMTSのサポートは、Mapboxのすべてのお客様にご利用いただけます。Mapboxドキュメンテーションをご覧ください。
*本記事は、Mapbox Inc. Blogの翻訳記事です。