ゴーゴーラボが提供するサービス
- gogo.gs(ガソリン価格比較サイト):月間100万人が利用する、ガソリンスタンド専門サイト。ガソリン価格や店舗のサービス情報をドライバーの皆さんで共有するクチコミサイトです。
- GoGoEV(電気自動車充電スタンド情報):電気自動車 (EV) やプラグインハイブリッド (PHEV)の充電スタンドの情報を配信する情報サイト。ドライバーの皆さんで共有するクチコミサイトです。
導入の目的
ゴーゴーラボが提供するgogo.gsは全国のガソリンスタンド(GS) の場所とガソリンの価格を検索できるサイトです。ユーザーは口コミで価格などの基本情報を共有するこのサービスは、現在、850万を超える閲覧数を誇ります。2008年のガソリンの前提税率廃止や最近の原油価格高騰に伴い、アクセス数は増加の一途を辿り、アクセス数が急激に増加した結果、サーバーがダウンしたこともありました。増強されたサーバー上で提供されている現行のサービスは、豊富な口コミと検証に基づく正確な情報を提供するサービスとして多くのユーザーが利用しています。また、EVへのシフトによって生じる新しいニーズに応えるために、ゴーゴーラボは、電気自動車 (EV) の充電ステーションの場所と充電設備の詳細を参照することができるGoGoEVも提供しています。このサービスでは、将来におけるEVの普及に伴うユーザーアクセス数の大幅な増加が期待されています。
アクセスの急増によってサーバーで障害が発生したのは過去の話ですが、ゴーゴーラボでは、同社のサービス拡充に不可欠なユーザーアクセス (口コミ情報の投稿) と閲覧数 (PV) の増加に伴う地図データのライセンスコストの増大という新しい不安要素が生まれてきました。gogo.gsとGoGoEVのどちらのサービスでも、信頼できる地図情報は必要不可欠な条件です。当時、ゴーゴーラボでは大手プラットフォーマー企業の地図情報を使用していましたが、その地図情報のライセンスコストが大きなネックとして急浮上してきたのです。
導入の経緯
サービス運営は、ユーザー単位の課金体系ではなく、主に広告収入で成り立っています。サイトの閲覧数が増えれば収益が増加するはずですが、それまで使用していた地図サービスの商用利用ライセンスはPV数に応じてライセンスコストが増加するという料金体系でした。PV数に基づくライセンス体系は特に珍しいものではありませんが、その料金設定と増加ペースは同社のROI分岐点を脅かす状況に迫っていました。
特に、地図を利用するユーザーが多いGoGoEVでは、EV充電ステーションの正確な情報をユーザーに提供するために信頼できる地図情報は絶対条件のため、サービスの利用者数が増えれば増えるだけ、ゴーゴーラボの事業収益が悪化する状態でした。
そのような状況の中、移管が可能な地図サービスのうちコスト削減と開発/移行の容易さという2つの観点から、ゴーゴーラボでは、Mapboxが有力な候補として選定されました。
「私たちが求める条件を満たすのはMapboxしかなかったというのが正直な評価です。ライセンスコストのメリットに加えて、開発の生産性、そしてベースとなる地図情報は信頼するに足りるものでした」宗像祐典氏 (株式会社ゴーゴーラボ代表取締役)
ソリューション
移管作業はエンジニアでもある宗像氏が独りで行い、わずか2日間で完了しました。「当社のサービスの基盤となる地図サービスの切り替えですからチームでの大がかりな作業が必要かとも思われましたが、実際は私が他のスタッフに『移管するから』と伝えた2日後に作業が完了して『移管したから』と報告したみたいな感じで移行は非常にスムーズに行うことができました」宗像氏
移管後の約2週間の検証作業の後、新しい地図データに切り替わったサービスがリリースされました。移管から検証までのすべてのプロセスにおいて追加コストや技術的な問題が発生することはありませんでした。一方、Mapboxの地図データは、あらゆる使用用途からの学習処理が行われています。6億人以上のユーザーのデバイスから毎日送信される約140億の匿名のセンサー信号が可能にする正確な交通データや毎日10万を超えるアップデートの即時更新が保証する地図データは、ゴーゴーラボのサービスに今まで以上に堅牢な基盤を提供しています。
「Mapboxではジオコーディングなどの豊富な機能が利用可能ですが、現在、私たちのサービスで使用しているのは地図データだけです。今回の作業は基本的に地図の切り替えだけだったので大きな問題はありませんでした。敢えて挙げるとすれば、使い慣れた地図から新しい地図になったことで一部のユーザーから使い勝手に少し違和感があるというフィードバックがあったことでしょうか」宗像氏
導入の効果
地図の移行に伴うネガティブなフィードバックは1つの指標ですが、宗像氏は、ユーザー数やPV数が増加することはあっても減少していないこと、そして何よりもライセンスコストが大きく削減されたことを大きな成果としてとらえています。「今回私たちにとって重要だったのは、PVの増加に応じて増大するライセンスコストでした。今回の移行によって、ライセンスコストは1/3に削減されました。これで、gogo.gsとGoGoEVのPV数が大きく増加してもROIの分岐点を大幅に抑えることができ、地図機能をより使ってもらえることができるようになりました」宗像氏
ゴーゴーラボでは、自社のサービスに必要とされる最適な機能を適切な料金で利用できるMapboxに切り替えた結果、ビジネスの体制を新しく整えると共に、多くの新しい可能性が見えてきました。「本来であればPVが伸びて嬉しく思うべきなのにROIを心配しなければならないという矛盾した状況が解決されたので、私たちの本来の業務であるサービス運営とWebサービスの開発にこれまで以上に注力する精神的余裕が生まれました。必要な機能を適切なライセンス料金で利用できるMapboxは私たちにとって最適な選択でした」宗像氏
将来の展望
地図データの移管を成功裏に完了したゴーゴーラボは、ライセンスコストを心配することなく地図データを新しいサービスに活用できるようさまざまな開発作業を進めています。その中には、ユーザーが意図したクォリティを提供する自然言語検索や給油/充電ステーションに実装されるアプリサービスの開発などが含まれます。たとえば、EVの将来的な普及に伴い、10~15分の充電時間を要する充電ステーションでは、ユーザーが待ち時間を有効に活用できるよう周辺の飲食サービス情報などのデータを提供するサービスの需要が想定されます。