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デジタルマップ活用の業界別事例

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HELPNET

交通死亡事故のない社会へ向かって

もし、車を運転中に土地勘のない道で、事故や事件に遭遇してしまったら・・・。もし、突発的なアクシデントに巻き込まれてしまったら・・・

そんな走行中の「不安」を「安心」に変えてくれるサービスがあります。事故や急病といった万が一に、自動車に搭載されたボタンひとつで専門のオペレーターにつながり、全国の救援機関へ接続される、緊急通報サービス「HELPNET」。

場所を正確に伝えられなくても、意識を失った状態でも、深夜の山間の道でも、様々なアクシデントの際に迅速に救援要請をサポートするのがHELPNETです。事故や事件から人命を守るという難題に、どのような情報戦略が繰り広げられ、どこまで技術で解決できるのか。株式会社日本緊急通報サービスの方々に、その取り組みを伺いました。

取材:株式会社 日本緊急通報サービス 様 技術部:橘田 光司様、技術部:斎藤 信夫様、技術部:荻野 陽子様、事業企画部:石橋 賢三様

大きな社会問題となった交通事故で、多くの尊い命が奪われないように・・・

それが、私たち「日本緊急通報サービス」が誕生した理由

「まず、私たちの会社の生い立ちからお話ししなければなりません。今から26年前、関係5省庁により、ITS(Intelligent Transport Systems)「高度道路交通システム推進に関する全体構想」が策定されました。その検討の一環として『緊急時自動通報』の実用化を目的に1999年、公共的な使命を帯びて設立されたのが、私たち日本緊急通報サービスです」そう、切り出したのは事業企画部石橋氏。万が一の事故やトラブルの際、全国の消防、警察、海上保安庁と連携し、素早い出動、救援、救命に貢献するためにも「HELPNETサービス(以下:HELPNET)」を開発、提供しています。

ドライバーが事故の場所を伝えられなくても、位置情報を受信したオペレーターが救援機関へ正確な救援要請を伝達、救急車やパトカーなどの救援活動に貢献

最先端の情報技術を駆使したこのシステムは、次のような仕組みになっています。

「事故を起こした」「急病人が出た」といった事象が発生したら、ドライバーや助手席から手が届く中央頭上などに配置された専用通報ボタンを押すことで、車両やドライブレコーダーに搭載された通信機器から、HELPNETオペレーションセンターに通報が届きます。そして、オペレーターが、「○○様、事故ですか? 救急ですか? どのような状況ですか? 消防、警察にお繋ぎしましょうか?」とドライバーに声がけをして、コミュニケーションをとります。

仮にドライバーに土地勘がなく、事故現場の場所をうまく伝えられなくても、オペレーションセンターでGPSやマップマッチングの技術を用いて位置を特定できることから、迅速に、消防、警察に引き継ぐことが可能です。さらに、位置情報は消防、警察に送られて指令台の地図画面に表示され、指令台においてそれを見ながら対応することを可能にしています。また、ドライバーと消防、警察が直接通話することもできます。

「しかし、大きな事故でドライバーが意識を失い、通報ボタンが押せない状況もあります。そうした事故でもHELPNETでは「エアバッグが作動している」や「重症度合」などの情報が車両からオペレーションセンターへ自動通報されるため、オペレーターの判断で消防、警察へ通報し、位置情報の連係を図ることができます。」(談:石橋氏)

ドライバーと会話ができない場合、オペレーターは、受信したデータだけで救援要請が必要かどうか、判断しなければなりません。ここは、経験値の高いオペレーターの能力が発揮される場面です。

様々なアクシデントに対し人命を守る「HELPNET」は多くの車に採用されています

「今、販売されている国産車の多くで、HELPNETを利用可能な通信機器が搭載されています。当初は、高級車への装着からスタートしましたが、現在ではフルラインナップに近い搭載を実現している自動車メーカーさんもあります。それだけ、HELPNETの利用者が拡大しているということです。また、自動車メーカーさんの他にも、損保会社さんがお客様に提供されている通信機能付きドライブレコーダーからの救援要請をHELPNETより救援機関に接続するサービスも始まっています。」

創業23年を経て、多くの国産車で利用されるようになったHELPNET。もちろん、事故は起こらないことが理想ですが、HELPNETだからこそ貢献できた代表的な事例があります。それは、某県内の山間部を走行していた車両で発生した事故だったと、石橋氏は振り返ります。

エアバッグが作動し、自動通報によりオペレーションセンターに情報が着信。HELPNETオペレーターからの呼びかけにドライバーからの応答はなく、最寄りの消防本部に救急車の出動を要請。HELPNETからの位置情報で到着した救急隊は、崖下6メートルで事故車両を発見し、車内から意識不明のドライバーをすばやく救助。病院へと救急搬送されました。

「山中での単独事故で目撃者もいない、意識不明にもかかわらず、HELPNETの自動通報があったおかげで、早期の救急要請が実現できました。自動通報の仕組みがなければ、発見が相当遅れただろうと推察されます。事故は起こしたくはないものですが、起きてしまった時に、生死を分けるシステムがHELPNETなんだな、と。速やかに人命を救う、という弊社の理念を感じるケースでした」(談:石橋氏)

1分1秒、どこまで時間を縮められるか、ドライバー、同乗者の重症度をどこまで予測できるか、「HELPNET」進化への挑戦

2015年より、新たな取り組みとして、D-Call Netがスタートしました。これは、トヨタ自動車(株)、(株)本田技術研究所、認定NPO法人 救急ヘリ病院ネットワーク「HEM-Net」との4社による救急自動通報システム(D-Call Net)の試験運用を、ドクターヘリ基地病院の参加を得て開始したものです。一言でいえば、どれだけ早く、どれだけ予測した情報を伝達できるか。その挑戦です。

具体的には、「HELPNET」の自動通信システム機能に加えて、衝突の激しさや方向、シートベルト着用の有無などの車に記録されたデータを送信し、過去280万件の事故データを基にした「死亡重傷確率推定アルゴリズム」によって、運転席、助手席に乗っていた人の重症度を予測します。この結果をドクターヘリ基地病院に送り、1分1秒でも早く、現場へ医師の派遣を実現します。つまり、「HELPNET」の進化形なのです。(談:斎藤氏)

これまでも交通事故でドクターヘリが飛ぶことはありましたが、このD-Call Netでの死亡重傷確率のデータがあれば、より速い判断でドクターヘリが出動し、救急出動ができるのです。

Mapbox」の地図サービスは、日本の多様な道路事情のなか、事故を起こした車の走行軌跡を地図上に示します

とても、困難なケースもあります。車が事故を起こした時、事故現場の位置はわかっていても、日本の道路は上下階層構造になっている場所が多く、正確な位置を把握することが難しいケースもあります。例えば、上に高速道路、その下に一般道が通っている場合。この上下階層になっている上を走行したのか、下を走行したのか、ドライバーや同乗者と会話ができれば把握できますが、会話ができない場合、上下の位置情報を間違えて伝達すると、救急車がたどり着けません。「カーナビが難しいところは、HELPNETも難しいのです」と、斎藤氏。

そこで重要になってくるのが、地図上での走行軌跡情報。車に搭載されているHELPNETのモジュールは、事故を起こした車がどこを走っていたのか、その軌跡を地図上に表示します。例えば、東京の首都高速3号線と、国道246号線が重なった上下二層だと、高速以外の道を走ってきたら一般道を走行、インターチェンジを抜けてきたら高速道路を走行したと判断できます。車が走ってきた軌跡が地図上に点々と表示されます。

高速で走る車と、一般道を走る車の割り出しは、走行軌跡情報を画面に表示することでおおよそ掴むことができます。一般道でしたら、横の道から出てきた軌跡があれば明確ですし、高速道路でしたら、インターチェンジの通り方などで判断することができます。

地図サービスの切り替えで辿り着いた、「Mapbox」カスタマイズの課題も、スムーズに解決

「以前は他社のサービスを使用しておりましたが、サービス提供の終了に伴い、次の候補を探しました。それで出会ったのがMapboxで、現在はMapboxの地図サービスを使用しています。消防や警察に通報場所を伝達するためには、住所のカナ表記が非常に重要なポイントでした。

日本全国を対象としているため読めない難しい地名が複数存在します。住所がカナで表記されていないと読み上げができず、オペレーション上、非常に困難な場面に直面することも予想されます。また、道路上の目標物として交差点名も重要となり、その情報が充実していたMapboxに辿り着きました。ベースに消防や警察においてなじみのある(株)ゼンリンの地図が使用されているのも大きな要因でした。

しかし、地図データの内容を、ただ移行できる訳ではなく、多岐にわたるカスタマイズが必要でした。もし、これまでのインターフェイスや地図のデザインが変わってしまうと、オペレーションが変わり運用者が混乱してしまうことが目に見えていましたから。そこは「Mapbox Studio」というサービス(地図デザインを多彩にカスタマイズできる)をフル活用することで、細かい地図デザインのカスタマイズを行うことができ、運用可能な状態までもっていくことができました」(談:荻野氏)

事業者にとっては、地図サービスの切り替えはハードルが高い。しかし、Mapboxの充実した地図コンテンツと、多彩に地図デザインをカスタマイズできるMapbox Studioの活用により、他の地図サービスからの移行を達成し、引き続き、HELPNETは重要なサービスを提供し続けています。

こうして、現場の情報を早く、確実に伝達するために進化してきた HELPNET。さらに質の高い救援機関接続インフラと緊急通報に特化した卓越したオペレーションにより救援機関の素早い出動、救援、救命が期待されます。

すべての車にHELPNETのボタンが装着されることを願っています。そう、「まさか」の時の「安心」のために・・・。

今回の取材にご協力いただいた株式会社日本緊急通報サービスの皆様

左より、技術部:橘田 光司様、技術部:荻野 陽子様 事業企画部:石橋 賢三様、技術部:斎藤 信夫様

Maps feature data from Mapbox and OpenStreetMap and their data partners.

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