株式会社プライスハブルジャパン様はBtoB企業として、不動産のAI査定やマーケット・インサイトに基づいたデジタルソリューションを不動産業界向けに提供しています。同社は2019年の日本での創業開始以来、運営するプロダクトにおいてMapboxの地図を採用。利用者からの反応や導入のメリットなどを営業部長の栁澤哲也氏に伺いました。
会社概要|データ駆使し不動産ビジネスをサポート
PriceHubble (プライスハブル) は、2016年にスイスで創業したグローバル不動産テック企業です。日本でのスタートは2019年で、本格的な営業開始も翌年と、まだまだ新しい会社といえます。当社のサービスではビッグデータや最先端の分析技術、優れたビジュアライズ機能を活用して、お客様の不動産に関わる意思決定の支援をしています。
不動産に関わるデータは様々です。例えば、物件から最寄駅までの距離や周辺環境などの情報を収集・分析し、機械学習を通じて、アウトプットとしてAI査定を提供しています。それらのサービス展開についてはSaaS(サース)プロダクトとして、そのまま使っていただけるものや、APIとして不動産会社様が提供しているWebアプリやソフトウェア会社様のCRMに組み込んで使用いただくケースも。また、日本法人では企業様から要望を聞いて設計・デザイン、データ提供や分析を行う共創プロジェクトも行っています。
現在、PriceHubbleは世界11カ国(スイス、フランス、ドイツ、オーストリア、日本、オランダ、ベルギー、チェコ共和国、スロバキア、イギリス、アメリカ)で展開。アジアにおいては日本が唯一ということになります。日本が選ばれた理由としてオープンデータが入手しやすく、かつそれらの精度も高いことが挙げられます。また創業者は何度も来日している親日家であるとも聞いています。スイスの本社には世界各国からスタッフが集まっており、国際色が豊かな企業と言えるでしょう。
導入の経緯|世界共通で導入 「ビジュアライズ」が強みに
Mapboxのサービスは、地図表示を行う「Map loads for Web」「Mapbox Tilling Service」を使用し、弊社の標準プロダクトである「Property Advisor」など様々な場面で活用しています。私たち営業チームは、お客様の反応や要望をもとに、データの表示方法やビジュアルについて実際に開発に携わっているエンジニアと積極的な意見交換を行っています。
Mapboxとの関わりは8年前のスイスでの創業当初からになります。日本でもMapboxの地図を使っていますが、これは他国でも問題なく提供できているサービスであることが大きなポイントとなりました。またエンジニアから聞いたところ、地図自体が広告などによって見え方へ影響することはなく、カスタマイズ性も高いと好評を得ています。
不動産のAI査定ができる「Property Advisor」では10カ国に共通して導入することで、管理もメンテナンスも楽にできています。そんなMapboxの地図を導入して生まれている強みが「ビジュアライズ」。ユーザーの方々には一番最初に目を引き、興味を持っていただけている部分です。
日本で賃貸・売買問わず、調べたい物件周辺の金額表示は様々な会社がやっていますが、どんな根拠に基づいて出しているか、どんな価格帯にあるのかを視覚的にヒートマップとして地図上に可視化する取り組みはありませんでした。教育機関や病院といった周辺施設、交通手段、不動産会社が持っている物件を立体的、動画的に見せられるのは「カッコいい」と社内の声もありました。
日本では不動産の価値をビジュアライズすることで、土地勘のない人でもそのエリアの相場を瞬時に把握できるようになりました。また本社のあるスイスでは、騒音レベルをデシベルごとに色分けして視覚化することにより、どのエリアがどの時間帯に騒音が多いかが一目で分かるマップも提供しています。
導入の効果|地図でデータを示し新発見 日々の修正にもきっちり対応
先に挙げた共創プロジェクトもMapboxのサービスを活用しています。これまではデータ分析をした際、数字で表やグラフを見せることも多かったのですが、それだけでは気づかない点も出てくるのが実情でした。しかしこれを地図で見せると新たな気づきが発見されるようになりました。「これってこういうことか」と直感的に理解できるようになり、その新たな発見から、さらにここを深掘りしようと進めていくことで、分析の有効性が高まったように感じています。
共創プロジェクトでは日々、修正の繰り返しです。これまでお客様の要望に対して「できない」と返したことはありません。プレゼンをしていて驚かれることもあり、それが楽しさにもつながっています。このような実績の積み重ねを通じて、展開先も広がりを見せています。
言葉では表現しにくい部分ですが、Mapboxの地図は直感的に使いやすさを感じています。ユーザーのUX向上につながっており、全社として創業当初から長く使っており、完全にシステムの一部として浸透していることを考えると、他社と比較しても優位性は高いと思います。なんでもできるイメージがありますね。またお客様とコミュニケーションしていく中で、バグのような事象について相談されることがない点も強調すべきことではないでしょうか。一時的なバグはどうしても起きてしまうものですが、Mapboxには信頼をおいて使用しています。
価格についても柔軟な設定がされています。他社の事例を聞いているとコストがかかるという声もありますが、その点ではリーズナブルなのではないでしょうか。共創プロジェクトで高いコストのものを使うとなると、採用していくのは難しいですが、そういったことはこれまでありません。価格の部分も納得して使っていただけるのではないかと思います。
さらにMapboxの社員の方から導入している会社を紹介いただき、つないでいただいたケースもありました。あるいは展示会に出展したところ、「かっこいい地図を使っていますね」と地図をきっかけに声をかけてくださるエンジニアの方もいます。Mapboxを通じた「つながり」を感じることもありますね。
今後について|新たな視覚化する取り組みも
共創プロジェクトでは、オルタナティブデータ(投資判断に使われるデータのうち決算開示などの一般的な公開情報以外のデータ群の総称。ニュース記事やSNS投稿、POSデータなどを指す)を組み合わせて、視覚化する取り組みをMapboxの地図を活用して進めています。今までできていなかった部分なので、新しいサービスをエンドユーザーである不動産会社さんに提供できるよう準備を進めています。
メッセージ|多種多様な企業・業界にメリット
Mapboxは、カスタマイズ性、高性能でスケーラブルなマッピングソリューションが可能であることが特徴です。Mapboxが提供する高度な機能、柔軟な価格設定、開発者向けのツールは、多種多様な企業・業界に大きなメリットをもたらしてくれるのではないでしょうか。