5Gネットワークの登場は、位置情報インテリジェンスの世界に大きな影響を与え、これまで以上に高速で正確な位置情報の取得を可能としています。企業や個人が、地図やデータや位置情報サービスを利用する機会が増えるにつれ、リアルタイムで正確な位置を特定する機能の重要性が増してきているのです。

この記事では以下を解説します。

• 5Gが位置情報インテリジェンスの未来にどのような影響を与えうるか
• Mapboxがどのように通信会社の次世代位置情報サービスの推進を支援していか

5Gは位置情報インテリジェンスにどのような影響を与えるのか？

5Gは最新の無線ネットワーク技術で、3G、4G、LTEといった従来のネットワーク技術よりも高速なデータ速度、低遅延、大容量を提供します。スピード、精度、容量の向上が、コネクテッドデバイスの位置情報インテリジェンスの機能を強化します。

スピード

5Gは驚異的なスピードを持ち、前世代の4G LTEの100倍ものデータ速度を誇ります。アップロード速度の高速化により、データの収集と転送がより速くなり、企業が迅速にデータを収集・分析できるようになるため、高品質の位置情報に依存するソリューションにとって大きなメリットとなります。

精度

5Gは、4Gなどの従来技術よりも遅延が少なく、データ伝送の遅延が少ないことが特徴です。これにより、より正確で精密なマッピングが可能になります。

5Gの接続性向上と低遅延化により、マップアプリは、リアルタイムの位置追跡を含む、より正確な位置データの提供が可能になるため、ナビゲーションから緊急サービスまでのさまざまな用途に活用されています。

少しでも遅れが生じると、リアルタイムの位置情報の精度が低下し、配送の失敗や 車両管理の効率低下、交通事故などの重大な問題につながる可能性があります。しかし、これらの問題は、5Gの低遅延化により、動的な位置情報の信頼性を確保することで解決することができるのです。

容量

Bipartisan Policy Centerによると、5Gは4Gよりも1mあたり最大1,000台多くのデバイスをサポートすることが可能だという結果が出ています。これは、デバイスやセンサーなどの接続されたオブジェクトがより速く、より効率的にデータを送受信できることを示しており、これらは地理空間データの収集と分析に不可欠な機能です。この機能により、交通パターンや天候などの変数をリアルタイムで把握することで、交通、物流、都市計画などの業界の業務の最適化に大きく貢献することが可能となるでしょう。

例えば、スポーツ観戦後の混雑した駐車場で、4Gユーザーが自分の車の位置を確認しようとすると、地図がうまく表示されないことがあります。しかし5Gがあれば、オンラインユーザーが大量に発生した場合でも、企業は位置情報サービスの信頼性を担保できるのです。

Mapboxは通信会社の5G活用をサポートしています

5Gネットワークが位置情報の向上を実現する段階に入ったことにより、位置情報技術もテレコム企業の5Gへの移行を後押ししています。Mapboxの高品質な位置情報インテリジェンス は、T-Mobileのようなトップクラスの通信会社の5G展開を主に4つの用途でサポートしています。

カバー率マップ

通信事業者は、お客様のサービス購入の際の判断材料として、包括的なカバー率マップを使用しています。カバー率データは動的なもので、ネットワークの成長・拡大に伴い、常に変化しています。Mapboxでは、プロバイダーが週単位、あるいは日単位でデータやスタイルを更新することで、地図に実際の数値を反映させることができます。Mapbox Geocoding APIとTilequery APIは、ユーザーの所在地を調べ、その住所の適合性を判断することができます。

T-MobileはMapboxを用いて、フルカスタマイズされた5Gと4Gのカバー率マップを提供しています。この美しい地図は、T-Mobileの象徴であるマゼンタのカラーパレットを使用し、極めて正確なカバー率データを提供 しています。

ネットワークプランニングとパフォーマンス

社内的には、カバー率データセットは、ネットワークプランの決定や、新市場のための追加容量の投資先を決定するために使用されています。競争が激化する中、5Gの導入においてカバー率とパフォーマンスの両面で優位に立つことは、通信会社にとって市場シェアを拡大するための最重要な差別化要素となっています。

電波塔の位置、地形によって電波がどのように伝わるのか、ネットワークの需要が高まっている場所などを把握することは、5Gネットワークの展開を成功させる上で重要なポイントです。

通信会社は、自社のデータを使って需要のギャップを見つけるか、Ooklaのようなネットワークパフォーマンス・テスト会社に依頼して特定しています。これらの会社では、何億ものスピードテストからカバー率、遅延、ジッター値、帯域幅、容量といった指標を収集します。

Ooklaは、Mapboxのビジュアライゼーションと位置情報レイヤーを使用して、世界中の事業者や政策立案者にカバー率とパフォーマンスを伝え、需要のギャップを是正し、データを正確に比較できるようサポートします。

Mapbox Tiling Service（MTS）を使用することで、ダイナミックデータはこれまで以上にアクセスしやすく、管理しやすくなります。MTSはタイルセットを処理・作成し、複数の社内外の地図アプリケーションで可視化・共有することができます。

ネットワーク障害マップ

ネットワーク障害マップは、サービスの停止や定期的なメンテナンスの際に、現在の顧客に情報を提供し、ネットワークを維持するための重要なツールです。国によっては、緊急サービスに支障や影響を与える可能性のある停電を報告するようプロバイダーに義務付けているところもあります。近い将来、さらに多くの国が同様の条件を提示することが予想されています。

Mapboxは、Webおよびモバイル向けのユーザーフレンドリーな地図表示画面に停電データをリアルタイムで表示することで、顧客が簡単に状況を把握できるようにしています。この停電マップで、ユーザーは異なるズームレベルでデータを表示し、特定の住所や郵便番号で停電を検索することができます。

IOTスマートシティ

5G技術と位置情報インテリジェンスの組み合わせは、都市の効率化、持続可能性、居住性の向上に貢献する強力なツールを創造し、新しい時代のスマートシティを生み出す可能性を秘めています。5Gは、交通管理システム、環境モニタリング、公共安全アプリなど、さまざまな位置情報ベースのアプリに必要な機能を提供することができます。これらの地図ベースのアプリは、IoTセンサーやMapbox Data Productsのリアルタイムデータを利用して、意思決定に役立てることができ、都市は状況の変化に迅速に対応できるようになります。

例えば、交通管理システムは、Mapbox Trafficのデータを利用して、交通の流れを最適化し、渋滞を解消することができます。Mapbox Traffic Engineからリアルタイムに更新される情報を活用することで、ドライバーにリアルタイムな情報を提供し、渋滞の回避や最短ルートの検索をサポートすることが可能です。また、過去のデータは、長期的に混雑を緩和するための公共交通機関への投資情報として利用できる可能性もあります。

Mapbox Movementは、日々の人通りのパターンや、ブロックレベルでの人口密度の変化に関する情報を提供しています。このデータは、歩行者の多い地域にはより良い歩道や横断歩道への投資を行うなど、都市計画の決定に役立てることができます。

Mapboxで5Gの未来を切り開く

通信会社の悩みを解決する位置情報インテリジェンスを提供することで、Mapboxはこれまで以上に高速、高精度、高接続性を実現する位置情報技術の開発・整備をサポートしています。

‍

＊本記事は、Mapbox Inc. Blogの翻訳記事です。