非営利団体First Street Foundationは、FloodFactor.comで洪水リスクのデータを誰でも自由に利用できるようにすることで、米国内の人々やコミュニティが洪水に対する理解を深め、備えることができるようにしています。
洪水は米国で最も被害の大きい自然災害であり、1980年以降、およそ1兆ドル以上の損害が発生しています。機関投資家や保険会社は何年も前から物件の詳細な洪水リスクデータを入手していましたが、アメリカの国民の大半は連邦緊急事態管理庁(FEMA)の地図に頼っていました。しかし、FEMAの地図は、個々の物件レベルで洪水をモデル化するために作成されたものではないため、何百万世帯や物件所有者は自分たちの本当のリスクを知らずにいる状態でした。
Flood Factorは、そのような知識のギャップを解消する目的で開発されました。
例えば、ニュージャージー州のホーボーケンを検索すると、最もリスクの高い地域がすぐにわかります。
また、コロンビア特別区の郵便番号20002を検索すると、「リスクが高まっており、30年以内に2,385件の洪水の危険性がある」と表示されます。
「私たちの目標は、最先端の洪水データに誰もが自由にアクセスできるようにすることです。1~10のシンプルなスコアを使って、物件所有者が、金融資産である自宅の洪水リスクをわかりやすく理解できるようにします。」- First Street Foundation エグゼクティブ・ディレクター マシュー・エビー氏
複雑なデータをパーソナライズ化することで身近なものに
Flood Factorの最も重要な要素は、そのシンプルさにあります。First Street Foundationのチームは、物件の洪水リスクを計算するため、気候変動が将来的にどのように洪水リスクに影響を与えるかを算出し、地域の洪水対策や、潮汐、雨、河川、高潮といった洪水の4つの主要な要因もふまえた分析結果を提供します。
Flood Factorの「スコアマップ」機能により、ユーザーはリスクの変化を把握できます。ズームイン・アウトしながらスコアをまとめていくことで、シンプルかつ視覚的に自身の洪水リスクを他の物件と比較して理解することができます。
「Mapboxとの提携は、Flood Factorに位置情報を統合し、ユーザー体験を向上させる方法を提供する上で非常に重要でした。当社のスコアマップは、サイトの中でも最も人気のあるサービスのひとつです。」First Street Foundation プロダクトマネージャー、コリーン・エンサー氏
Mapbox Geocoding APIを利用したFlood FactorのWebページの住所検索は、ユーザーとそのコミュニティに関連するコンテンツに直接アクセスすることができます。ユーザー体験を最適化するために、サイト全体の地図にはMapbox GL JSを使用して動的な地図と、ユーザーの方向性を示す静的な「スナップショット」地図を表示しています。
個々の物件レベルでの洪水リスクを算出するために、First Street Foundationは、建物のフットプリントデータ(Mapbox、Microsoft、OpenStreetMap)とLightBoxのパーセルデータを組み合わせて使用しました。結果として得られた洪水リスクのデータセットはベクトルタイルに加工され、Mapbox Studioでスタイリングされました。完成したマップでは、データに基づいたスタイリングやズームベースのスタイリングのテクニックが紹介されています。Mapbox Studio内での再現方法、エクスプレッションを使用したGL JSコードでの直接操作、またはペイントプロパティの編集方法をご覧ください。
洪水データを人々に提供
公開以来、Flood Factorは科学界、メディア、そして一般の人々の間で、洪水や洪水対策に関する新たな話題を提供してきました。また、Realtor.comとの提携により、現在および将来の何百万人もの物件所有者に、30年の住宅ローン期間中に変化する環境に起因する物件の洪水リスクを理解してもらうための支援を行っています。
「私たちが常に目指しているのは、複雑でコストがかかるために長い間アクセスできなかった情報を民主化することです。私たちは、Flood Factorを使って、洪水保険に加入するかどうかや、家を守るための他の投資を行うか、といった重要な決断をしたという声を、全米の人々から聞いています。」First Street Foundation創設者兼エグゼクティブ・ディレクター、マシュー・エビー氏
First Street Foundation Flood Labでは、学界や業界をリードする研究者が協力して、洪水リスクやその影響、可能な解決策について新たな知見を得て理解を深めています。
Neighborhoods at Risk などのプロジェクトでは、Flood Factorのデータを活用して、地域社会が雨水システムの改善やその他の気候変動への適応策を優先的に検討するのに役立てています。
リスクを理解し、効果的に伝えることは、適応と緩和への第一歩です。位置情報ツールを使って世界をより良い方向に変えようとしている方は、Mapboxにご連絡ください。
大規模なデータを扱う場合は、Mapbox Tiling Serviceを使ってカスタムベクトルタイルセットを処理することができます。境界線、地形、標高、高解像度のランドカバーや土地利用データなど、すべてのMapbox Studioアカウントで利用可能なレイヤーとデータを組み合わせましょう!
*本記事は、Mapbox Inc. Blogの翻訳記事です。