Mapboxは常に地図操作性の向上に努めており、今回は新機能「Mapbox Maps Internationalization」をご紹介します。この新機能は、グローバルなユーザー体験とバックエンドの開発者体験を向上させます。
Maps Internationalizationは現在Private Preview中で、2023年第1四半期に一般利用が可能になる予定です。
Mapbox Maps Internationalizationを使用すると、ユーザーのデバイスやブラウザの設定に基づき、言語とWorldviewが動的にレンダリングされるWeb / モバイル用のマップを構築できます。これにより、言語やWorldviewごとに個別のスタイルを構築する必要がなくなり、コーディングや検証の時間が格段に省略され、将来のメンテナンスも必要なくなります。
ローカライズとWorldviewとは
地図におけるローカライズとは、Webサイトやアプリが、地理的な名前、場所を特定の地域の言語に合わせて翻訳することを指します。
例えば、ドイツでドイツ語を話す人はミュンヘンを「München」と呼ぶかもしれませんが、ドイツ以外の国で英語を話す人は「Munich」と呼ぶかもしれません。このように、ドイツ語話者または英語話者向けでマップラベル表示は変わってきます。
地図におけるWorldviewとは、自分の位置と他の位置との関係を理解するために使用する枠組みを指します。例えば、異なる国の異なるユーザーは、自国の国境が地理的にどこにあるかについて、異なった考えを持っているかもしれません。
マップのローカライズの課題
Mapboxは現在、地図のローカライズをサポートしていますが、エンドユーザーの好みをサポートするためには、必要な言語とWorldviewごとに、開発者が何百もの個別のスタイルを作成しなければならないため、時間のかかる作業となっています。
同様に、GLプラグインをインストールして、各言語の実行時にスタイルを変更することもできますが、リソースとパフォーマンスの制限により、最適とは言えません。新しい言語やWorldviewがサポートされた場合、その言語にアクセスするためには、Webやモバイルプラットフォームの最新バージョンへのアップグレードや更新が必要になってきます。
Mapbox Internationalizationにより マップのローカライズが容易に
Mapbox Maps Internationalization機能により、エンドユーザーのデバイスやブラウザの設定に基づいたマップの言語とWorldviewを迅速かつ簡単に設定することができます。もう何百ものスタイルを構築し、運用する必要はありません。限られた数のスタイルで、ユーザーのデバイスやブラウザに応じてマップをより速く読み込むことができます。新しい言語が追加されても、更新やアップグレードの必要がなく、サポートされます。
エンドユーザーは、自分好みの言語やWorldviewで簡単に地図を表示できるようになり、直感的に理解できるようになりました。
デバイスやブラウザの設定に基づいて高速にレンダリングが行われるため、ユーザーは地図上の言語表示を手動で選択する必要がありません。また、地図上の言語をアプリの言語と一致させることができるため、混乱やフラストレーションを解消することができます。
Maps Internationalizationでサポートされている言語
Mapbox Maps Internationalizationにより、これまで13言語4Worldviewだった対応言語が、34言語8Worldviewに拡大されました。
Maps Internationalization機能の使用例
Internationalizationは、グローバルに事業を展開する企業が、海外のユーザー向けに言語やWorldviewを設定したり、現地の政府規制や顧客の好みに合わせたりする際に有効です。
気象機関が現地の言語で天気図を表示
ある天気予報会社は、ロケーションに基づく情報をユーザーに提供しており、大規模なグローバルユーザーをサポートするためにベースマップの言語拡張が必要でした。しかし、ローカライズのために、何百ものスタイルを作成することは避けたいと考えていました。
Maps Internationalizationにより、エンドユーザーは世界中のあらゆる場所の天気を、ブラウザやデバイスの設定で定義された言語で表示することができ、開発者は新しい言語やWorldviewが必要になるたびに、新しいカスタムスタイルを構築する必要がなくなりました。
自動車メーカーが地域ごとにナビゲーションをカスタマイズ可能
自動車産業もグローバル市場を支えています。自動車メーカーにとって、さまざまなモデルが販売されるすべての地域の言語に対応した地図やナビゲーションを提供することは、非常に重要なことです。
例として、西欧でカーナビにMapboxを使いたい自動車メーカーは20以上の言語と3つ以上のWorldviewに対応する必要があります。マップラベルはドライバーによって定義された言語設定を反映する必要があり、ディーラーは販売前に車を現在のWorldviewに合わせ初期化する必要があります。
MapboxのモバイルおよびナビゲーションSDKは柔軟なカスタマイズを可能にします。例えば、ディーラーが車両のWorldviewを設定してもドライバーは好みの言語を選択できるようにすることが可能です。また、Maps Internationalizationはドライバーの言語の好みなどに基づいてラベルがパーソナライズされるように、 翻訳作業を自動化しています。
国、州などの地名ラベルは先に挙げたドイツの例のように、言語間で翻訳が異なることが多くあります。一方、道路は一般的にローカル名で呼ばれます。Mapboxでは地図ラベルは必要に応じて自動的に翻訳されますが、適切な場合は現地の名称も表示されます。
SNSアプリでは地図言語とアプリ言語を一致
国際的に展開するSNSでは、世界中の利用者がコンテンツにアクセスできるようにするためには、ローカライズが重要な鍵となります。
例えば、ある企業のアプリが30ヶ国語に対応しているとします。UXを向上させるためには、アプリでサポートされている言語に対応した、ローカライズされた地図を自動的に表示させることが望まれます。マップのラベルは、ユーザーのデバイスやブラウザーの設定に合わせて変更する必要があります。
Mapbox internationalizationは、アプリ内の言語コンテンツとアプリ内の地図に表示される言語が異なるという事態を防ぐことができます。
Mapboxで地図をローカライズ
Maps Internationalizationによりマップのローカライズが迅速かつ容易になります。この機能は現在Private Previewで利用可能で、2023年第1四半期には一般に利用可能となる予定です。
以下は、モバイルデバイスの言語またはロケール設定がMapboxのモバイルSDKを経由して、マップをローカライズする仕組みを示したコード例です。
以下は、Mobile SDKを使用してロケールを強制的に変更するコード例です。
また、現在Mapbox Studioでのマップのプレビュー機能もPrivate Preview中です。この機能の実装後、利用者は言語とWorldviewを設定すると自身のマップを公開する前にどのように表示されるかをプレビューすることが可能になります。
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*本記事は、Mapbox Inc. Blogの翻訳記事です。