10月10日のデジタルの日にあわせ、Yahoo! JAPANがハッカソンイベント「Digital Hack Day 2021」を開催しました。総勢数百名のエンジニアやデザイナーがチームを作り、「日本のデジタル化」をテーマにさまざまなテクノロジーを用いてアイデアを実装し、作品を競い合いました。マップボックス・ジャパンは協賛企業として、参加者にMapboxのテクノロジーとテクニカルサポートを提供しました。
今回は、Mapboxを使っていただいた、「チームあぐりメタル」の川島さんにインタビューを実施し、作品の紹介、Mapboxを使った感想などを伺いました。ぜひご覧ください!Mapbox賞を受賞した「チームおるかへ」のインタビュー記事はこちら
目次
- チームあぐりメタル プロフィール
- 作品「Yorimichi」の紹介
- 「Yorimichi」作成経緯
- Mapboxの利用プロダクト
- Mapboxを利用した感想
- Mapboxからのコメント
- 最後に
チームあぐりメタル プロフィール
あぐりメタルのメンバーは社会人と学生の計5人で構成されています。それぞれの略歴をご紹介します。
川島(私):大手製造系企業の技術屋。専門は物理ですが、製造業DXなどにも取り組んでます。
Kenmaroくん:テック系スタートアップの天才エンジニア。Mapboxと出会ってから本業に影響が出るほどのめり込んでおり、Mapboxの素晴らしさに訴訟検討中らしい。笑
山口くん:Web系企業でデータサイエンティストを務める傍ら、副業で秘密計算エンジニアとしても働いてるスーパーマン。
仲澤くん:コンピュータサイエンスを専攻している大学院生。スキルアップのためにIT系のベンチャー企業でインターンをしている好青年。
武井くん:生体医工学分野の研究をしている大学院生。研究では主に医用画像処理を行ってるナイスガイ。
私とKenmaroは10年来の友人であり、公私ともに交流があり、しょうもない話から小難しい話まで何でも話す盟友です。
山口君、仲澤君と武井君は(彼らは同じ大学の先輩後輩)Kenmaro君の友人でした。
私はKenmaro以外は初対面でしたが、レベルの高いメンバーに恵まれ、短期間での実装を実現することができました。本業では得られないこのメンバーとの出会いや刺激、共に過ごした時間がハッカソンで得られた最高の戦利品です。ハッカソンへの参加はある意味人生の「Yorimichi」と言えると感じました。
チーム名はメンバーの専門のバックグラウンドの「鉄(マテリアル系)」と、「農業、工業」的なところを組み合わせて「あぐりメタル」と名付けました。
作品「Yorimichi」の紹介
自分自身では気づくことができない素敵な場所へナビゲーションする”Yorimichi”と呼ぶモバイルアプリを作成しました。本来の目的地の途中にあるパーソナライズされた場所を提案し、ユーザーを案内するアプリです。言い換えると、『より未知へ寄り道』することを体験できます。想定するユースケースをいくつか紹介します。
- (ルーティンをナビゲーション);帰り道いつもは右から帰るが、左から帰るといい匂いがするお店へ案内することができる。
- (人生をナビゲーション);少し遠くに行く時に15分早く出発すると、好みのカフェへ寄ることができる。
- (チャンスをナビゲーション);近くの地域のイベント、スーパーのタイムセールをピックアップし案内することができる。
あぐりメタルの予選の動画はこちら
「Yorimichi」ランディングページはこちら
「Yorimichi」作成経緯
COVID-19により、旅行などの遠征での刺激を受けることが難しい中、近くにあるけど気づけなかった刺激を現代の技術との融合により発見できないか?という学生時代からの友人との雑談がきっかけです。優秀なマップアプリも世の中にはあるけれど、検索ワードがわからなければ辿り着くことはできません。ひらめきは思いもよらぬ出会いや刺激から生まれてきます。『思いもよらぬ』に再現性を持たせたいと思い、アプリの開発に至りました。また、寄り道する側のみならず、寄り道される側も、もちろん有益であり、我々が提供できるアイディア、技術で利用者に『昨日より楽しい1日』を過ごしてもらいたいという思いで作品を開発しました。
Digital Hack Dayへの参加を決める前に、このアイディアがあり、そんな中Digital Hack Dayにて、Mapboxの技術提供がある情報を知り、運命を感じました。
Mapboxの利用プロダクト
技術の根幹としてMapboxを利用しています。24時間のハッカソンということでiPhone向けに焦点を絞り、「Maps SDK for iOS」を使用しています。目的地の検索という、アプリの最初のインターフェースには「Search SDK」を利用しています。そして、Yorimichiの最も重要な要素である、おすすめの寄り道先を経由した経路検索を「Navigation SDK」で実現しました。
Mapboxを使った感想
ハッカソンを終えてからも、Yorimichiをブラッシュアップする開発を継続しています。そう思わせてくれたのは、Mapboxの拡張性の高さです。充実した公式チュートリアルと豊富なExamplesコードがあり、無限に広がる可能性を感じました。
それぞれのコード量もコンパクトで、開発中のものにポータブルに使用できました。これはハッカソンでの限られた時間内で動くものを作らなければならない状況下で非常に有り難かったです。
一方で、チュートリアル以上のことをしようとすると、SDKへの理解やSwiftへの理解の難易度が格段に増すな、と感じています。周辺の解説記事なども、まだあまり充実していないので、チュートリアルレベルの開発者が、実際にMapboxを自信を持って使うことができるまでのハードルは高い印象です。ここは、今後コミュニティが大きくなることで、もっと多くの人がより手軽に使っていくのではないかと思います。
Mapboxを1ヶ月ほど使ってみて、高機能さと拡張性の高さがとても素晴らしいと思っています。ヒートマップやアノテーションのカスタマイズ性があり、これからもプロダクトを改善するためにMapboxを勉強したいと思っています!
Mapboxからのコメント
チームあぐりメタルさんは、MapboxのTechnical teamからの推薦でピックアップしました。推薦の理由を聞いてみましょう。
▼Mapboxチーム Taoさんからのコメント
私はよく車で家族旅行をしています。GPSやナビゲーションアプリのおかげで、現在地から目的地までの最短・最速のルート計算ができて、目的地へ到着できないという不安はありません。しかし、二泊三日の旅行でさえ、半分以上の時間が「移動」に使われているような気がします。一泊二日の場合は更に「移動」の割合が多くなると思います。「移動」と言っても、ナビゲーションアプリの指示通り車を操作しますので、家族との会話以外は、ほとんど楽しさはありません。
これがあぐりメタルさんの「Yorimichi」のアイデアを大好きになった理由です。単純な指示通りではなく、少し寄り道をすることで、美味しい食べ物や、素敵な景色に出会えるかもしれません。「移動」も楽しめるようになれば、これこそ旅行の醍醐味ではないかと思います。
一方、Mapboxは、様々な情報を集約し自由自在な地図描画を行うことでロケーションデータの活用を推進する地図開発プラットフォームを目指しています。現在地や目的地のような「点」、その間の「線」より、ずいぶん広くなる「面」の情報を、利用者の皆様へ提供でき、更に利用者様がお互いコミュニケーションできるようなプラットフォームサービスを提供しています。あぐりメタルさんの「Yorimichi」のように、Mapboxのテクノロジーを活用した、最短・最速だけではなく、楽しさも配慮されるルート探索機能を次回の家族旅行で試してみたいと思いました。
最後に
「Yorimichi」アプリのランディングページはこちらです。リリースまでもう少しかかりますが、利用できる日を楽しみにお待ちください!