SymapsがMapboxでどのように構築されているのか
小売業において立地戦略は極めて重要であり、企業は理想的な場所や最適な流通拠点を求めてしのぎを削っています。どの立地にも、独自の交通力学、競合密度などが存在しています。こうした複雑さによって、適切な分析を行わなければ、見込み顧客の見落としや事業の後退を招く可能性があります。
先進的なロケーション・インテリジェンス・プラットフォームを利用すれば、企業は進出先を選ぶ前から、成長、顧客開拓、ポジショニングについて詳細な知見を得ることができます。
この分野で傑出しているのが、SaaS型のロケーション・インテリジェンス・プラットフォームであるSymapsです。SymapsはMapboxのテクノロジーを活用し、立地計画や店舗用地の選定で企業を支援しています。
ロケーションベースの意思決定をより深く理解するために、私たちはSymapsの創設者兼CEOであるMickaël Mas氏と対談し、ビジネスの成功における「どこで」を決定するためのロケーションデータ、マッピング技術、そしてビジネスの知恵の相互作用について議論しました。
ウェビナーの全容はこちらでご覧になれます。また、以下より私たちの見識をご覧ください。
Symapsの紹介
韓国で創業し、現在はフランスに本社を置くSymapsは、世界40カ国で事業を展開しており、小売業からレストラン、電気自動車の充電ステーションに至るまで、さまざまな業界に導入されています。
Symapsは、強力なデータ分析と可視化ツールにより、企業の物理的拠点に関する意思決定を支援しています。交通状況、競合分析、提携の可能性といった重要なデータを集約することで、最適な立地場所を探すための実用的な知見を提供することが可能です。
Symapsを読み解く: ビジネスにおける意思決定を強化する方法
Mickaël氏はウェビナーで、Symapsプラットフォームが位置情報に関する知見に基づき、ROI主導の意思決定をどのようにサポートするかについて、4つの重要な側面から詳しくご説明してくださいました。
分析・理解する
Symapsは都市を俯瞰する視点を提供しているため、ユーザーは都市にズームインしてさまざまな地域の人口統計を把握したり、カフェやスポーツジムなど特定の施設がどのような時間帯に最も人が集まるかを調べたりすることができます。
ランク付けとベンチマーク
Symapsではこの都市全体の分析をもとに、より深く掘り下げた調査を行うことができます。ユーザーは、候補となりそうな場所を探索し、Mapbox Movement Dataを使用して、競合の近接度や人口統計プロファイルなどの複数のパラメータでランク付けすることができます。このランキングシステムにより、比較検討の材料が提供され、企業は単に良い場所を選ぶだけでなく、特定のニーズに最適化された場所を選ぶことができるのです。
予測する
高度な予測モデルを活用することで、Symapsでは任意の場所の将来性を垣間見ることができます。住所を入力するだけで、企業がその場所に進出した場合の潜在的な収益予測を得ることができるのです。
決定する
最終的には、Symapsのすべての分析結果が意思決定に影響を与えることとなります。直感や限られたデータに基づいて意思決定することなく、ユーザーは次に取る行動が十分な情報に基づいたものであることを保証できます。Symapsのプラットフォームは、アナリストやマネージャーが意思決定に必要な様々な要素をリアルタイムで説明できるようにしています。そのため、他のステークホルダーはデータに関与し、パラメータを即時に修正することができるので、意思決定において十分な情報を得ることができます。
Mickaëlは、これらが実際に機能するライブデモンストレーションを行いました。
Symapsの実践:MICKAËL MAS氏のライブデモンストレーション
Mickaël氏との対談では、Symapの特異性、比較分析、大量のデータを解析する能力など、目を見張るようなさまざまなデモが披露されました。以下に、そのトップ3をご紹介します。
リヨンの通行量分析
フランスのリヨン上空を巡回したMickaël氏は、Symapsを使って移動データを視覚化し、1週間の様々な時間帯に最も混雑する都市区間にスポットライトを当てました。
次に、レストランデータと人口統計インサイトを人の往来パターンに組み込むことで、データをシームレスに統合するSymapsの能力を紹介しました。
この統合されたアプローチにより、Mickaël氏は2つの異なる場所にある寿司レストランの潜在的な可能性を評価しました。
イギリスの電気自動車市場分析
Mickaë氏はさらに、イギリス全土の電気自動車充電ステーション市場を調査することで、Symapsの実力を示しました。’Finder’ツールを使って、イギリス全土を「場所」、電気自動車充電ステーションを「市場」、車で8分の範囲を「集客エリア」として設定し、企業が新しい充電ステーションを建設すべき場所を特定しました。
驚くべきことに、この検索は何千ものロケーションのデータをふるいにかけ、交通量、人口統計、近隣の競合の密集度に関する情報とともに、新しいステーションの候補を提案したのです。
学生とコーヒーショップ
Mickaël氏は別の市場に目を移し、イギリスのコーヒーショップとそこに出入りする学生に注目しました。彼は、Costa Coffee、 Starbucks、 Pret A Mangerの3大チェーンのリーチを学生層との近さに重点を置いて評価しました。
この調査でイギリスの学生の22%がCosta Coffeeから徒歩5分圏内にいることが判明しました。そして、Costa Coffeeがそのカバー率を高めるためには、何百もの新店舗をオープンしなければならないことも分かったのです。
Mickaël氏は、このデータが Costa Coffeeが学生をターゲットにした効率性を最大限に高めていることを示唆していると述べています。例えば、どの10店舗が学生のカバー率を高めるのに最も効果があるかなど、SymapsはCosta Coffeeeに有益な知見を今も提供しています。
SymapsがMapbox Movement Dataを採用
Mickaël氏はウェビナーの最後に、MapboxのデータがSymapsの機能において重要な役割を担っていることを明らかにしました。彼は、市場を理解する上でトップクラスのデータが必要であることを強調し、Mapbox Movementデータの網羅性、品質、使いやすさを称賛しました。MapboxがSymapsにとって傑出した存在である理由は以下の通りです。
正確さと世界的な網羅性
Mapbox Movement dataを組み込むことで、Symapsのグローバルな網羅性が強化され、精度が向上します。この融合により、Symapsは小規模なデータセットによる制限を克服し、歩行者交通解析を強化することができます。
プライバシーの尊重
MapboxとSymapsはデータ保護への取り組みを共有しています。Mapboxが設定した強固なプライバシー基準はSymapsと呼応し、機密データ管理における両社の協力関係を強化しています。
信頼と安心
Symapsが過去にMapboxの地図を使った開発で成功を収めたこと、Mapboxのサポートが利用できること、Symapsの技術評価におけるMapboxのデータの信頼性が、このパートナーシップを成功に導きました。
Mapboxデータを用いてビジネスインテリジェンスプラットフォームがゲームを変える
複雑なロケーションインテリジェンスの世界を切り開くSymapsは、最適な場所を求める企業にとって画期的な存在です。MickaëlMas氏のウェビナーでは、出店先を探す企業に向けて、SymapsがどのようにMapboxのデータを活用し、複雑な位置情報を実用的な情報へと変換しているのかが紹介されています。
SymapsとMapboxの連携について詳しくはこちらもご覧ください。
*本記事は、Mapbox Inc. Blogの翻訳記事です。